睡眠科学の専門用語では、この異環境の初夜に起こる脳の警戒反応を「ファースト・ナイト・エフェクト(FNE)」と呼ぶ。医療機関や研究施設で行われる臨床睡眠ポリグラフ検査においても、初日のデータは生理的な警戒心によって不自然な波形が出やすいため、解析対象から除外するのが国際的な標準ルールとなっている。
問題は、この一時的な現象を放っておくリスクだ。たった一晩の徹夜感覚だと軽く考えていると、旅先でのストレスが引き金となり、長引く「環境変化不眠」へ移行してしまう危険性がある。警戒態勢が解けないまま夜を過ごすと、過剰な交感神経の緊張が習慣化し、慢性的な睡眠障害へと悪化するケースも少なくない。