物語の起点となるのは、1945年6月の神戸大空襲だ。裕福な海軍大佐の家庭に育ち、不自由のない暮らしを送っていた清太と節子だったが、焼夷弾の雨がその日常を一瞬で焼き尽くす。母は重度の火傷を負い、皮膚が爛れ全身を包帯で巻かれた無残な姿のまま、救護所で息を引き取った。父親は連合艦隊の艦上で連絡が絶たれている。
親を失い、家を失った二人は、西宮に住む遠縁の親戚の叔母の家へ身を寄せることになる。しかし、ここから二人の運命は徐々に、そして決定的に狂い始める。食糧難が深刻化する中、叔母は自分たちの実子を優先し、働かず家財を売り払って得た米を食うだけの清太に対して冷酷な言葉を投げかけ始める。「お国のために働いている人」と「守られるだけの子供」という対立。大人の理屈と少年のプライドが衝突した結果、清太は叔母の家を飛び出すという致命的な選択をしてしまうのだった。