かつて人々の暮らしが営まれていた3棟の木造民家。そこに新たな命を吹き込み、立体的なアート空間へと昇華させたのが建築家の永山祐子だ。彼女は、横尾忠則の平面作品が持つ狂気と美意識を真っ正面から受け止め、光と影、透明と不透明が入り混じる革新的な建築リノベーションを実現した。
敷地は「母屋」「物置」「蔵」という既存の建物をベースに設計されている。足元に目を向けると、ガラス床の下を色鮮やかな錦鯉が静かに泳ぎ、水面が光を反射して幻想的な波紋を描き出す。建物の随所に配された赤いガラスや黒いガラスは、外の風景を異様な色調へと歪め、鑑賞者の知覚を揺さぶる。日常の風景が瞬時に非日常へと切り替わる快感。そこには計算し尽くされた視覚的トラップが仕掛けられている。