怪我による力士廃業。それが、すべての始まりだった。伊勢ヶ濱部屋の元力士・富栄(最高位は東幕下6枚目)は、持病の腰痛と股関節の痛みに耐えかね、2026年に土俵を去る苦渋の決断を下す。だが、彼はそこで折れなかった。自らYouTubeチャンネルを立ち上げ、バク転やアクロバット動画で肉体のポテンシャルを証明し続けたのだ。
運命を変えたのは、日曜劇場『VIVANT』のオーディションだ。福澤克雄監督の目に留まったのは、圧倒的な身体能力と、人を惹きつけて離さない愛くるしい笑顔の両立。過酷なモンゴルロケで、ドラムはスタントなしの激しいアクションや車移動の過酷な撮影を完遂した。セリフがないからこそ、一瞬の表情変化や身体のキレにすべてを込める。彼の演技は言葉の補完ではなく、身体そのものが雄弁な語り部となっていた。