「腐らない」という科学的根拠があるならば、実家の押し入れや古い引き出しから発掘された「10年前のガム」はそのまま食べられるのでしょうか。いわゆる賞味期限切れのガムは食べられるのかという疑問に対し、安全性と品質の両面から検証していきます。
結論から言えば、未開封で直射日光や湿気を避けて保管されていた場合、10年前のガムの品質であっても微生物の繁殖による食中毒を引き起こす可能性は極めて低いです。しかし、「人体に毒性がないこと」と「おいしく食べられること」は全くの別問題です。
長期間放置されたガムでは、以下のような品質劣化が確実に進行しています。
第一に、香料の揮発と糖分の結晶化です。ガムの爽快感を生み出すミント香料やフルーツフレーバーは揮発性が高いため、年月とともに抜け落ちてしまいます。噛んだ瞬間に粉っぽく崩れたり、わずか数秒で味がなくなったりする現象はこれが原因です。
第二に、軟化剤の変質による食感の硬化です。ガムベースをしなやかに保つ成分が抜けることで、噛み始めがプラスチックのように硬くなり、顎や歯に強い負担をかける恐れがあります。
なお、ネット上では古いガムによる腹痛の危険性を心配する声も散見されます。しかし、これは腐敗菌による急性胃腸炎ではなく、ガムに含まれるキシリトールやマルチトールなどの糖アルコールが原因であるケースがほとんどです。糖アルコールは一度に多量に摂取すると小腸で吸収されにくく、体質によってお腹がゆるくなる性質があります。古いガムだからといって過剰に毒性を恐れる必要はありませんが、劣化したものを無理に口にするメリットはありません。