製薬会社勝ち組と負け組の真相を分けた根本的な要因は何なのか。それは、製薬業界将来性と課題の核心である「創薬モダリティの転換スピード」に集約されます。
従来の化学合成を中心とする低分子医薬品は、開発し尽くされた感があり、後発医薬品(ジェネリック)の参入によって特許切れ後の売上急落が免れません。この特許の崖(パテントクリフ)に立ち向かう術を持たなかった企業は、軒並み「負け組」への転落を余儀なくされています。
ここで圧倒的な「勝ち組」へと名乗りを上げたのが第一三共新薬開発力です。同社は低分子医薬品の主力薬であった高血圧症治療薬「オルメサルタン」の特許切れ危機に直面した際、全社を挙げてがん領域へのシフトを宣言。抗体と抗がん剤を結合させる独自のリンカー技術を用いたADCプラットフォームを社内で地道に磨き上げました。その成果が実を結び、アストラゼネカや米MSDといった海外メガファーマから数千億円単位の契約金を勝ち取るに至ったのです。
対照的に、後発品ビジネスに過度に依存した企業や、生活習慣病領域の長期収載品に固執した中堅メーカーは、厚生労働省が進める毎年薬価改定の直撃を受け、研究開発投資の原資すら確保できない悪循環に陥っています。資本力のない企業が単独で生き残ることはもはや不可能な事業環境となっており、事業売却や外資系ファンドへの身売りを余儀なくされる構造的淘汰が進行しています。