「主要チェーンの中で本当に美味しいのはどこか」という問いに対して、単純な優劣をつけることは困難です。なぜなら、各社がターゲットとする利用シーンや味の設計思想が根本から異なるためです。
牛肉本来の旨味とタレのキレを極限まで追求しているのが吉野家です。熟成肉の選定と秘伝の醤油ベースタレによる煮込みは、赤身と脂身の黄金比率(6:4)を徹底して維持しており、「牛丼単体での完成度」を求めるファンから絶大な支持を得ています。肉の繊維を崩さない薄切り技術と玉ねぎの甘みの調和は、長年のファンを唸らせる最大の武器です。
一方、ファミリー層やバラエティ豊かな味わいを求める層を完全に掌握しているのがすき家です。甘めに仕上げられた濃厚なタレは、多彩なトッピングと掛け合わせることを前提に設計されています。とろ〜り3種のチーズ牛丼や高菜明太マヨ牛丼など、一度食べるとクセになる濃厚な味付けは若年層を中心に圧倒的な中毒性を生み出しています。
定食を中心とした「総合メシ処」としての地位を確立したのが松屋です。牛めし(並盛)460円という価格設定に加え、店内飲食時にみそ汁が無料で付くサービスは、日常的なランチ需要において圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。さらに、無添加(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・合成保存料を使用しない)へのこだわりや、タレのコクを際立たせた肉の仕上がりは健康志向のビジネスパーソンからも高く評価されています。
そして、独自のポジションを築くなか卯は、現在一般的な牛丼ではなく「牛すき丼(並盛650円)」を展開。特製の割り下で煮込んだ牛肉と白滝、長ねぎを合わせるアプローチを採りつつ、看板メニューである親子丼のこだわり(厳選したこだわり卵と特製だしの黄金比)によって、他の牛丼チェーンとは一線を画す和食ファストフードの地位を確立しています。