吉井臼人というキャラクターの歴史の中で、最も視聴者に衝撃を与えたのが「臼井儀人先生本人によるカメオ出演」です。
アニメ草創期のスペシャル回やレギュラー回において、クレジットに堂々と「吉井臼人:臼井儀人」と表記され、原作者自らがマイク前に立ってアフレコを行いました。当時の現場証言や制作関係者の回顧録によると、臼井先生は非常に気さくでサービス精神旺盛な人柄であり、アフレコ現場でも独特の照れ笑いを浮かべながら、ぎこちなくも味のある演技を披露していたと伝えられています。
プロの声優ではない原作者の肉声が、しんのすけの無軌道なボケと重なることで生じる独特の「生々しい間」は、シュールなギャグアニメとしての『クレヨンしんちゃん』の魅力をさらに引き上げました。
その後、キャラクターとしての出番が増えるに従い、声の担当は前田耕陵氏をはじめとする実力派声優陣へとバトンタッチされました。プロ声優陣によるヒステリックでコミカルな叫び声の演技は、よしいうすとの「追い詰められた漫画家」というキャラクター造形を完璧なものへと昇華させました。