1990年代後半、芸能マスコミや一般視聴者の間で瞬く間に広がった鳥羽潤と安達祐実の熱愛疑惑の真相を検証すると、当時のメディア環境が生んだ典型的な「役柄のシンクロ現象」に行き着きます。美内すずえ原作の超人気少女漫画を実写化したドラマ『ガラスの仮面』(テレビ朝日系)において、安達祐実演じる北島マヤに対してひたむきな愛情を注ぎ続ける劇団つきかげの青年・桜小路優を好演したのが鳥羽潤でした。
作中で描かれた桜小路の切ない片思い、そしてマヤを精神的に支え続ける純粋な献身ぶりは、当時の十代の視聴者を大いに沸かせました。折しも1990年代後半はインターネットの黎明期にあたり、パソコン通信や初期のネット掲示板、芸能雑誌の読者投稿欄などで「マヤと桜小路君はお似合い」「プライベートでも付き合っていてほしい」という願望混じりの言説が爆発的に拡散した経緯があります。
しかし、当時の芸能担当記者や制作関係者の証言を丹念に洗い直しても、写真週刊誌による決定的なツーショット報道やプライベートの目撃証言は一件も存在しません。撮影現場における2人は、常にスタッフやマネージャーの厳重なガード下に置かれており、二人きりでプライベートを過ごす時間的・物理的余地は皆無でした。ファンの強烈な作品愛と願望が、いつしか「熱愛の噂」へとすり替わっていったのが実態です。