「レシピ通りの分量で作ったのに、食べる頃には味が薄くなっていた」という経験は少なくありません。その最大の原因は、ほうれん草の内部に残った水分と、調味料の塩分によって引き出される浸透圧にあります。
ほうれん草の水分をコントロールし、最後まで濃厚な風味を保つための必須技法が「2段階の絞り」と「醤油洗い(しょうゆあらい)」です。
まず茹で上がったほうれん草を冷水にとった後、全体を束ねて根元から葉先に向かってギュッと強めに水気を絞ります。これが1回目の絞りです。続いて食べやすい4〜5cm幅に切り分けた後、切断面から染み出す水分を両手で包み込むようにもう一度しっかり絞ります(2回目の絞り)。この2段階を踏むだけで余分な水分が大幅に抜けます。
そして、和食の料理人が必ず行う裏技が「醤油洗い」です。2回絞ったほうれん草に醤油小さじ1/2程度を回しかけて軽く揉み込み、2〜3分置いた後に再度軽く絞って捨てます。あらかじめ表面の水分を醤油で置き換えて抜いておくことで、本番の和え衣を絡めた際に余計な水分が出なくなり、驚くほど輪郭の際立ったプロの味に仕上がります。