インターネット上で長年議論されているのが、グランマンマーレにまつわる「死神説」や「黄泉の国の案内人説」です。作中後半、町が完全に水没したにもかかわらず住民が誰一人としてパニックにならず、高齢者施設「ひまわりの家」の車椅子の老人たちが元気に歩き回る描写から、「登場人物全員がすでに水死しており、あの世へ旅立ったのではないか」という考察が広まりました。
この文脈において、水没した町へ降臨し人々を光で包み込むグランマンマーレは、魂を彼岸へと導く観音菩薩や死神(ヴァルキリー)の役割を果たしていると解釈されたのです。
宮崎駿監督自身は「死後の世界を描いた」と明言してはいませんが、「生と死の境目が曖昧になった太古の海」を描こうとしたことは公言しています。グランマンマーレは命を奪う悪魔的な死神ではなく、生も死も等しく包み込み、自然の循環へと還す根源的な生命の象徴として配置されていると考えるのが極めて妥当です。