事故現場では、深さ約5メートル、幅約8メートルに及ぶ巨大なクレーター状の穴が口を開け、周囲には強い下水臭とガス漏れのリスクが漂っていました。管轄消防局の特別高度救助隊(レスキュー隊)が現場に到着した段階で、穴の縁(へり)の舗装アスファルトがひび割れ、いつ二次崩落が起きてもおかしくない極限状態でした。
救助隊は二次災害を防ぐため、大型クレーン車による車両の固定と、地下空間の酸素濃度・可燃性ガス濃度の測定を即座に実施。隊員が懸垂下降で穴の底部へ進入し、潰れたキャビンの隙間から油圧スプレッダー(拡張器具)を用いてドアを切断開放しました。事故発生からわずか約52分後、ストレッチャーに固定された運転手は無事に地上へと引き揚げられ、待機していたドクターカーへ引き継がれました。
現場を目撃した近隣住民は、「地鳴りのような『ズズズ』という低い轟音の直後、道路がスパッと消えた。消防隊員が穴の崩壊を防ぎながら必死に呼びかけを続け、引き上げられた瞬間に周囲から安堵の声が漏れた」と証言しています。隊員の冷静かつ的確な初期判断が、最悪のシナリオを回避させたと言えます。