唐辛子栽培で最も相談件数が多いトラブルが、「株は青々と大きく育っているのに、花がポロポロ落ちて実が止まらない」という現象です。この失敗には明確な植物生理的理由が存在します。
実がつかない主因の筆頭は、窒素成分(N)の過多による「つるボケ(樹勢過多)」です。元肥や追肥で窒素を過剰に与えると、植物は葉や茎を伸ばす「栄養成長」ばかりを優先し、子孫を残すための「生殖成長(開花・結実)」をストップさせてしまいます。青々とした大きな葉ばかりが茂り、花が咲いても受粉前に黄色くなって落下する場合は、肥料過多を疑う必要があります。
また、開花期の極端な乾燥や、近年の猛暑による35℃以上の高温障害も花粉の稔性(受粉能力)を奪う大きな要因です。さらに、風通しが悪く受粉を促す風や虫が届かない環境でも着果率は低下します。
こうした事態を防ぎ、側枝を増やして大量着果を促すために欠かせない作業が「摘心(てきしん)」と「わき芽かき」です。
- 摘心と整枝のやり方:主枝の最も低い位置に咲く「一番花」を確認したら、その直下の勢いがある側枝を2〜3本残し、それより下から出る細いわき芽はすべて指先でかき取ります。
- 主枝+側枝の3〜4本仕立て:一番花より上の主枝と残した側枝を伸ばしていくことで、株全体の風通しと日当たりが劇的に改善され、各枝から次々と新しい花芽が分化します。