エスカレーターを上がり2階へ足を踏み入れると、独特の落ち着いた照明と紙の香りが漂う。台湾発祥のカルチャー体験型ストア「誠品生活日本橋」だ。「Books, and Everything in Between(本とくらしの間に)」というコンセプトを掲げ、アジア圏で絶大な支持を集めてきた文化の発信基地である。
創業者である呉清友が生涯をかけて追求した「人文・芸術・創意・生活」の美学は、この日本橋のフロアにも色濃く息づく。単に本を売るのではなく、選び抜かれた書籍の隣に台湾茶の茶器が並び、ガラス工芸や活版印刷のワークショップが日常的に開かれている。消費の場というより、知的な好奇心を満たす現代のサロンに近い。時間を忘れて棚を眺める人々の姿そのものが、この空間の豊かさを物語っている。