保存する際によくある疑問が、「スライスしてから小分けにするべきか、塊のまま保存するべきか」という点です。結論から言えば、肉質を最良の状態に保つためにはローストビーフを塊のまま冷凍することが不可欠な条件となります。
薄くスライスした肉は、塊肉に比べて空気に触れる表面積が約300%から500%も増加します。表面積が広がれば広がるほど、外気との接触による酸化スピードは跳ね上がり、冷気による水分の蒸発も急激に加速します。また、スライス断面から肉汁が滲み出しやすくなるため、凍結前の段階ですでに旨味の損失が始まってしまうのです。
ただし、一人暮らしや少人数世帯で「食べる分だけ数枚ずつ解凍したい」という実用上のニーズがあるのも事実です。どうしてもスライス後に冷凍せざるを得ない場合は、以下の手順でダメージを最小限に食い止めてください。
まず、肉の厚みは通常よりやや厚めの3〜5ミリ程度に切り分けます。薄すぎる肉片は冷凍焼けの直撃を受けるためです。切り分けた肉は重ならないよう広げ、少量のオリーブオイルを表面に薄く塗布して油の膜でコーティングします。これにより水分の蒸発を物理的にブロックできます。その後、1食分(3〜4枚)ずつ隙間なくラップでピッチリと包み、平らな状態で金属トレイに載せて急速冷凍庫へ入れます。小分けの手間は増えるものの、この処置を施すだけで解凍後のパサつきを大幅に緩和できます。