伝統工芸の常識を破る表現者・田村有紀|尾張七宝7代目が描く革新と音楽の未来

伝統工芸の常識を破る表現者・田村有紀|尾張七宝7代目が描く革新と音楽の未来

伝統工芸の常識を破る表現者・田村有紀|尾張七宝7代目が描く革新と音楽の未来の詳細解説を解説します。最新トレンドが詰まっています。

七宝焼の制作工程は、果てしなく緻密だ。中でも尾張七宝の代名詞と言えるのが「有線七宝(ゆうせんしっぽう)」という技法である。工程を細分化すると、職人の卓越した技術と忍耐が見えてくる。

  • 素地作り:銅や銀の板を叩き出し、器やジュエリーの土台となる形状を切り出す。
  • 植線(しょくせん):厚さわずか0.05〜0.1ミリ程度の平たい純銀線を、ピンセットを使い手作業で折り曲げ、素地の上に図案通りに接着していく。コンマ数ミリのズレも許されない最重要工程だ。
  • 施釉(せゆう):銀線によって仕切られた小さな区画(セル)の中に、鉱物を原料とするガラス質の釉薬をホシ(竹串やスポイト)を使って充填する。
  • 焼成(しょうせい):約800度の高温窯で数分間焼き付ける。ガラス粉末が溶融し、鮮やかな色彩へと変化する。この焼き付け工程は、一度では終わらず、施釉と焼成を何度も繰り返して層を重ねる。
  • 研磨(けんま):焼き上がった表面は凹凸があるため、粒度の異なる研磨石や砥石を使い、水をつけて丹念に磨き上げる。銀線とガラス面が完全に一平面的に滑らかになるまで磨くことで、独特の濡れたような光沢が生まれる。

一切の妥協を排した手仕事から生まれる宝石のような輝き。田村のジュエリーが放つ色彩の奥行きは、多層のガラス層と微細な銀線が光を屈折させることで実現している。

山田 真由
Author

山田 真由

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。