城下町のシンボルとして八坂川の河口近くにそびえ立つのが杵築城です。1394年に木付頼直によって築城されたと伝わり、北は高山川、南は八坂川、東は守江湾という天然の要害に囲まれた「海城」としての性格を持っています。現在の天守閣は1970年に再建されたものですが、最上階の展望室から眺める守江湾と城下町のパノラマビューは圧巻の一言。城内には貴重な武具や古文書が展示され、小規模ながらも見応え十分です。
城下町の歴史をさらに深く味わうなら、北台武家屋敷群の代表格である大原邸へ足を延ばすのが王道ルートです。家老級の上級武士が暮らした格式高い邸宅で、見事な茅葺き屋根と広々とした回遊式庭園が当時の面影を今に伝えています。屋敷内に上がれば、風通しの良い座敷から手入れの行き届いた庭を眺めることができ、静寂の中で武士の暮らしぶりに思いを馳せることができます。
周辺には、家老・中根邸や磯矢邸など、保存状態の良い杵築武家屋敷が点在しています。土塀に刻まれた格式や長屋門の造りなど、屋敷ごとに異なる意匠を比較しながら巡る時間は、歴史愛好家にとって至福のひとときとなるはずです。