日本のジャーナリズム業界において、本件が遺した衝撃は今なお冷めていない。多くの報道メディアが過度な批判や不買運動を恐れ、過激な歴史論争やセンシティブな社会問題の追及から腰を引く「自己自主規制」の空気が広がった。真実を追及するための調査報道ドキュメンタリーの現場でも、法リスクや炎上リスクへの懸念から企画の選定が保守化する傾向が指摘されている。
だが、ファクトチェックの重要性が叫ばれる現代において、メディアが果たすべき役割は防衛的な姿勢をとることではない。正確な裏付けと徹底した検証に基づき、社会的タブーに対しても果敢に取材を重ねる根気強さこそが、損なわれた読者からの信頼を取り戻す唯一の道筋である。