白さび病にまつわる情報には、農学的な事実と異なるいくつかの誤解が流布しています。作物を安全に育て、無用なトラブルを防ぐために押さえておくべき盲点を整理します。
誤解1:「アブラナ科の白さび病が隣のキクにうつる?」
「ダイコンに白さび病が出たから、隣に植えている鑑賞ギクにも感染する」という心配は植物病理学的な誤解です。先述の通り、ダイコン等に付く菌(Albugo candida)とキクに付く菌(Puccinia horiana)は、同じ「白さび病」という和名が付けられているものの全くの別種です。宿主特異性(特定の植物種にしか感染できない性質)が極めて厳密であるため、アブラナ科からキク科へ、あるいはその逆への交差感染は起こりません。
誤解2:「感染した土壌は数年間一切使えなくなる?」
土壌中に残った胞子を恐れて土を全量廃棄してしまう家庭菜園愛好家がいますが、これも極端な対応です。白さび病菌は生きた組織がない環境下では次第に死滅します。真夏の透明ビニールマルチを用いた「太陽熱土壌消毒」や、アブラナ科・キク科以外の植物(ナス科、マメ科、イネ科など)を栽培する輪作を行うことで、土壌中の菌密度を安全レベルまで激減させることが可能です。