この議論の根底には、職場におけるハラスメント意識の過渡期的な歪みが存在する。妊婦に対する心ない言動はマタニティハラスメントとして厳しく非難されるようになった。しかしその反動として、周囲の社員が「何も言えない」「過剰に気を使わされている」という不満を溜め込む事態が起きている。
いわゆる「逆差別感」の蔓延である。妊婦をサポートした社員に対する評価や補償制度が不十分な職場では、負担ばかりが特定の同僚に集中する。制度の不備によって生じた歪みが、妊婦個人の言動に対するイライラへとすり替わり、「つわりアピールがうざい」という個人的な感情攻撃へと歪形してしまう構造が存在する。