映画のエンディングで流れる透明感あふれる歌声を覚えている人は多いだろう。しかし、この曲がもともと『千と千尋の神隠し』のために書かれたものではなかったという事実は、案外知られていない。宮崎駿監督が温めていた別の企画『煙突描きのリン』のために作られたものの、企画自体が途中で立ち消えとなってしまった経緯がある。
それでも、宮崎監督の心からこの旋律が離れることはなかった。『千と千尋』の制作中、監督はCDを幾度となく聴き返し、「この歌の世界観こそが映画の本質だ」と確信したという。運命的な引き寄せによって、楽曲は作品の最後を締めくくる最高のラストピースとなったのだ。