物理的な「領土」を失ってから年月が経過した2026年現在、イスラム国という組織は消滅したわけではありません。中央集権的な国家形態から、世界各地に点在する分散型・地下セル型のテロネットワークへと変貌を遂げています。
特に注視すべきは、アフガニスタンを拠点とする「イスラム国ホラサン州(ISIS-K)」や、マリ・ニジェールなどのサヘル地域、西アフリカで勢力を拡大する地域分派の動きです。これらの支部組織は、現地の政情不安や貧困層の不満を巧みに吸い上げ、散発的な襲撃や爆弾テロを継続しています。
さらに現代の脅威として深刻化しているのが、物理的空間を離れたサイバー空間での先鋭化と資金調達です。暗号資産(仮想通貨)を利用した資金洗浄、ダークウェブを介した武器密売、オンラインゲームや閉鎖型SNSを通じた若年層の勧誘(ローンウルフ型テロリストの育成)など、テロの形態はより検知しにくく、見えない形へと進化を遂げています。