トロッコ問題で1人を犠牲にする選択は冷酷か?脳科学が暴く合理性

トロッコ問題で1人を犠牲にする選択は冷酷か?脳科学が暴く合理性

トロッコ問題で1人を犠牲にする選択は冷酷か?脳科学が暴く合理性について見逃せない 事実を分かりやすく解説いたします。

この議論の原点は1967年、イギリスの道徳哲学の権威であったフィリッパ・フットが提示したひとつの思考実験にある。オックスフォード大学で教鞭を執っていた彼女は、中絶や戦争における正当な行動の境界線を検証するためにこのシンプルなシナリオを考案した。

18世紀の思想家ジェレミ・ベンサムが提唱した「最大多数の最大幸福」という明快な物差しを当てはめれば、答えは拍子抜けするほどシンプルだ。5引く1はプラス4。救われる命が多ければ多いほど、生み出される社会的総和としての幸福は大きくなる。しかし、人間は数式だけで割り切れるほど単純な回路では生きていない。レバーを引くだけの「分岐器の事例」では約9割の人が1人を犠牲にすることに同意するが、橋の上から太った1人を突き落として列車を止める「歩道橋の事例」になると、突如として賛成率は1割程度に激減する。失われる命が1人、救われる命が5人という結果の収支は全く同じであるにもかかわらずだ。

池田 達也
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池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。