名前を間違えられ、間髪入れずに鋭く、しかしどこか情けない声色のトーンで咆哮する――「児嶋だよ!」。日本中のお茶の間で誰もが一度は耳にしたことがあるこのキラーフレーズは、最初から周到に企図されたギャグではなかった。
若手時代、バラエティ番組の現場で先輩芸人たちから雑にいじられ、本気で憤慨して言い返した素のリアクション。それがスタジオの空気を一変させ、大きな笑いを生んだ瞬間がすべての始まりだった。児嶋一哉本人は当初、自らの名前を軽んじられることに戸惑いを隠せなかったという。だが、周囲の意図を瞬時に汲み取り、相手のボケに対する「最高のパス」として声を張り上げるうちに、それは単なるツッコミの域を超え、演者と観客の距離を一瞬で縮める魔法のコール&レスポンスへと昇華した。
威圧感のない怒り、プライドを捨て去った潔さ。この絶妙なバランスこそが、彼を時代に愛されるキャラクターへと押し上げた原動力である。