お酒を飲んだときに顔が赤くならず、翌日も平然としていられる体質の根底には、極めて高いアセトアルデヒド分解能力が存在します。体内に取り込まれたアルコール(エタノール)は、まず肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によって「アセトアルデヒド」という強い毒性を持つ物質に変換されます。このアセトアルデヒドこそが、顔の紅潮、動悸、吐き気、そして翌朝の激しい頭痛を引き起こす主犯格です。
お酒が強い人は、この毒素を無毒な酢酸へと素早く分解するALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)の働きが極めて活発です。血中にアセトアルデヒドが滞留する時間が圧倒的に短いため、毛細血管が拡張して顔が赤くなる現象(フラッシング反応)が起きません。さらに、酢酸から水と二酸化炭素への最終代謝も滞りなく進むため、二日酔い知らずのコンディションを保ち続けることができます。
つまり、酒豪と呼ばれる人々は「毒素に耐える強靭な精神力」を持っているのではなく、単にアルコール代謝と肝機能の連携スピードが常人離れして速いという物理的な身体的アドバンテージを持っているのです。