慶應義塾大学環境情報学部を拠点に展開される研究は、認知科学と発達心理学、そして認知言語学の精緻な融合によって支えられている。研究室が長年にわたり追究してきたのは、子どもが驚異的なスピードで言葉を学び、世界を概念化していくメカニズムだ。
子どもは辞書を引くわけでも、膨大な文法規則を教わるわけでもない。限られた経験の断片から、いかにして無限の表現を生み出す体系へと跳躍するのか。今井氏が解き明かしてきた「ブートストラップ仮説」やアナロジー(類推)の力は、人間が持てる知覚と身体性を総動員して世界を探索するダイナミズムを物語っている。それは単なるデータの蓄積とは決定的に異なる、生命的な学習の姿だ。