フランスサッカー史において、移民ルーツの選手たちは常に国家のヒーローであり続けた。1998年自国開催のワールドカップでフランスを初優勝に導いたジネディーヌ・ジダンは、アルジェリア移民の血を引く象徴的存在だった。彼の活躍は、多様な人種が融合した「ブラック・ブラン・ブール(黒人・白人・アラブ人)」という多文化共生モデルの象徴として社会的に称賛された。
そして現在、その精神と圧倒的な輝きを継承するのがキリアン・エムバペだ。カメルーン出身の父親とアルジェリアルーツの母親を持つ彼は、パリ郊外ボンディで育ち、いまや世界最高のストライカーとして代表のキャプテンマークを巻く。ジダンからエムバペへの系譜は、移民系選手が単なる「助っ人」ではなく、フランスのアイデンティティそのものを体現している証左と言える。