骨への影響が杞憂である一方、歯科分野においては冷静な注意喚起がなされている。歯の最表面を覆うエナメル質は、口腔内がpH 5.5以下の酸性に傾くと脱灰(ミネラル成分が溶け出す現象)が始まるとされる。これが「臨界pH」と呼ばれる境界値だ。無糖炭酸水のpHは4.5〜5.5程度であるため、数値の上では臨界pHを下回っている。
日本歯科医師会などの専門機関も指摘するように、問題の本質は「唾液による中和能力」と「接触時間」にある。健康な口腔内では、唾液の緩衝作用によって数十秒から数分で酸が洗い流され、中性に戻る。そのため、食事や喉を潤す目的で普通に飲む分には実質的なリスクは極めて低い。しかし、数時間にわたってデスク上で少しずつ口に含み続けたり、就寝直前に飲んでそのまま眠るような習慣は、唾液の保護作用を封じ、酸蝕歯のリスクを高める要因になり得る。