NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』のモデルとしても知られる創業者・坂野惇子。彼女が戦後間もない神戸で掲げた「本当に良いもの、子どもの肌に優しいものを作る」という信念は、令和の今も本店のアトリエで息づいている。生地の選定から糸の染色、1ミリ単位で調整される縫製ラインに至るまで、妥協の二文字は見当たらない。
機械による大量生産が当たり前となった時代だからこそ、手縫いのステッチが放つ不均一な温かみが際立つ。坂野惇子が母親の目線で追求した細やかな工夫――型崩れしにくい裏地使いや、成長に合わせて調整できる仕立て――は、本店限定アイテムの中に最も濃密な形で継承されている。