1991年秋、朝日出版社から突如刊行された写真集『Santa Fe』。ニューメキシコ州の乾いた大地、どこまでも澄み渡る青空、そして日干し煉瓦の壁を背景に、篠山紀信のカメラは18歳の宮沢りえの瑞々しい生命力を余すところなく捉えていた。
出版直前まで徹底的に極秘裏に進められたプロジェクトだった。関係者すら全貌を知らされないまま行われた撮影現場では、母・光子氏の存在や、巨匠・篠山紀信との緊密な対話があったとされる。篠山はのちに「彼女の美しさは、隠すことではなく光の中に解き放つことでこそ完成する」という趣旨の回顧を残している。本人が自らの意志でレンズの前に立ち、恐れや迷いを脱ぎ捨てていくプロセスそのものが、あの奇跡的なカット群へと結実した。