アメリカ産牛肉の輸入禁止は、日本の食文化と外食産業に直撃しました。その象徴となった出来事が、大手牛丼チェーン「吉野家」における牛丼の販売休止です。
吉野家は看板メニューである牛丼の味と肉質(穀物肥育されたアメリカ産牛バラ肉「ショートプレート」)に強いこだわりを持っていたため、他国調達への安易な切り替えを行わず、2004年2月11日をもって牛丼の販売を一時休止する決断を下しました。店頭に長蛇の列ができた「牛丼最後の日」の光景は、連日ワイドショーで大きく報道されました。
その後、吉野家は豚丼やカレーなどの代替メニューを投入して急場をしのぎ、オーストラリア産牛肉を活用して営業を継続したすき家や松屋など、競合他社との戦略の違いも浮き彫りになりました。また、この一連の騒動を契機に、国産牛への信頼向上や履歴を追跡できる仕組み作りが急務となり、牛の個体識別番号を義務付ける「牛トレーサビリティ法」の施行へとつながりました。