本作は兜町の激闘を描いたスリリングな経済・相場ドラマとしての側面を持ちながら、本質的にはひとりの人間の魂の彷徨を描いた極上のヒューマンドラマである。株の売買で天国と地獄を行き来するスリル以上に、観る者の胸を打つのは、ギューちゃんを取り巻く人々の情愛と葛藤だ。
生涯憧れ続けた伯爵令嬢・お君さんへの一途すぎる思い、損得勘定を超えて彼を支え続ける女たちの献身、そして裏切りと友情。相場という冷酷な数字の世界で戦いながらも、最後まで情を捨てきれなかった主人公の不器用な生き様は、効率と合理性が最優先される現代社会を生きる私たちの心に深く突き刺さる。