「スキンケアを丁寧に行っていれば、そのうち自然に治るのではないか」「針やピンセットで芯を押し出せば自分で取れるのでは」と考える方は少なくありません。しかし、皮膚科専門医の診断現場において、これは最も警戒すべき誤解の一つとされています。
脂腺増殖症は、毛穴に詰まった皮脂汚れ(面皰)ではなく、真皮層に存在する皮脂腺の小葉そのものが過剰に増殖して塊を形成している状態です。角質や膿がたまっているわけではないため、自力で圧出することは構造上できません。皮膚科の臨床データにおいても、自然退縮(自然に消えること)はほとんど確認されておらず、時間の経過とともに徐々にサイズが拡大したり、周囲に新たな結節が増加したりする傾向があります。
医療器具を用いずに自分で針を刺したり、爪で強く押し潰したりする行為は、表皮を傷つけて深刻な雑菌感染を招くだけでなく、真皮組織を破壊して永続的な陥凹斑(クレーター)や炎症後色素沈着(茶色いシミ)を残す決定的な原因となります。自己判断での処置は絶対に避け、医療機関での正確な診断を受けることが最優先です。