ハノイの旧市街を歩いていると、数十年前と変わらない低床のプラスチックチェアに腰掛け、練乳たっぷりの濃密なアイスコーヒーをすする老人の姿がある。一方で、そのすぐ隣の築100年のフレンチコロニアルビルを見上げれば、無機質なコンクリートと緑豊かな熱帯植物が同居するミニマルなスペシャリティコーヒーショップが満席を誇っている。
2026年のベトナムカフェシーンを象徴するのは、この「極端なコントラスト」だ。単にコーヒーを飲む場所ではなく、滞在すること自体がエンターテインメントとして設計されている。歴史的な建築をリノベーションした店舗では、剥き出しのレンガ壁と最新のイタリア製エスプレッソマシンが美しい調和を見せ、訪れる者を飽きさせない。