卓上に運ばれてくるのは、およそ300度に加熱された本物の日本瓦だ。保温性に優れたこの瓦こそが、最後まで料理を熱々のまま保ち、時間の経過とともに刻々と変化する食感のグラデーションを生み出す最大の立役者である。乗せられた茶そばには最高級の京都産宇治茶が贅沢に練り込まれており、熱を加えることで茶葉本来の爽やかな香気が一気に立ち上る。
箸を進めるごとに変わる表情も面白い。最初は甘辛く煮込まれた牛肉の旨味と錦糸卵のやさしい風味が、風味豊かな茶そばをしっとりと包み込む。だが、時間が経つにつれて瓦に接した面が徐々にパリパリとした香ばしい「おこげ」へと変化していく。このしっとり感とクリスピー感の同居こそ、他では絶対に真似のできない唯一無二の食感体験だ。