パブ(Pub)は元々「Public House(公共の家・社交場)」の略称であり、地域住民が集うコミュニティスペースとして発展してきました。日本国内でも親しまれていますが、実は「アイリッシュパブ(アイルランド式)」と「英国パブ(ブリティッシュパブ)」、そして日本発のパブチェーンとして名高い「HUB(ハブ)」には、それぞれ明確な個性と設計思想の違いが存在します。
アイルランドのパブ文化の根底にあるのは「Craic(クラック=楽しい会話・音楽・陽気な時間)」です。装飾は素朴な木材やアイルランドの伝統色である深い緑(シャムロックグリーン)を基調とし、ケルト音楽の生演奏(トラッドセッション)が日常的に行われるなど、家庭の延長線上にあるような温もりが漂います。これに対し、英国パブはヴィクトリア朝様式のエレガントな装飾や真鍮(ブラス)の金具が多用され、エールビール文化と静かな会話を重んじる傾向があります。
英国風PUBチェーンの「HUB」は、日本の都市生活に合わせて英国パブ文化をカジュアルにローカライズした店舗形態です。カクテルメニューの豊富さや会員割引システムなど、若年層やグループ利用に適した設計が施されています。対して独立系を中心とするアイリッシュパブは、アイルランド現地の醸造文化や郷土料理、生演奏カルチャーをより忠実に再現しており、落ち着いた質感と本格的な一杯を求める層に選ばれています。