SNSや動画共有サイトでは、画面に線が入った際の民間療法として「ベゼル(枠)を強く押し込む」「本体の裏を軽く叩く」「ドライヤーで温める」といった裏技が拡散されることがあります。確かに、これらの行為によって一時的に線が消える瞬間が存在するのは事実です。
しかし、これは直ったのではなく、剥離しかけていた金属端子が物理的な加圧や熱膨張によって偶然ほんのわずかに接触を回復しただけに過ぎません。金属疲労や接着剤の劣化自体は進行しているため、数時間から数日後には必ず再発します。
それどころか、過度な圧迫は隣接する正常なドライバICを破壊し、ドライヤーの熱は液晶ポリマーを熱変性させて画面全体の黄ばみや発火事故を招きます。「叩いて直す」という昭和のブラウン管テレビの感覚を現代の超高密度エレクトロニクス機器に適用することは、完全な全損を自ら引き寄せる行為です。