「日本料理 幸庵」を率いる店主・飯島均(いいじま ひとし)氏は、日本料理界の最高峰として知られる滋賀県八日市の老舗料亭「招福楼(しょうふくろう)」で長年研鑽を積んだ生粋の料理人です。招福楼が重んじる茶の湯の心、すなわち「禅の精神に基づいたもてなし」を身体の芯まで染み込ませた飯島氏は、その確固たる土台を胸に2004年、地元神奈川の藤沢に自身の店を構えました。
飯島氏の料理の真髄は、澄み切った味わいの中に奥深い余韻を残す「出汁(だし)」に象徴されます。厳選された利尻昆布と削りたての鰹節を用い、温度と時間を極限まで見極めて引かれる一番出汁は、一口含んだだけで五感を揺さぶる豊かな風味を誇ります。
さらに、北大路魯山人ゆかりの器や歴史ある古伊万里など、料理を引き立てる器の選定にも一切の抜かりがありません。伝統を厳格に守りながらも、訪れるゲストの記憶に残る驚きを忍ばせる独自のコース構成は、飯島氏の飽くなき探求心が生み出す結晶です。