こうした危機的状況に対し、行政や学術機関も動いている。環境省および北海道庁が発表した2026年の最新調査データによると、全国のヒグマ・ツキノワグマの推定生息数は過去最高水準を更新し続けている。過疎化による休耕田の増加や、里山の荒廃によって「人間と熊の緩衝地帯」が消失したことが、熊の出没区域を人里へと押し広げる主要因となっている。
野生動物管理学の最前線では、従来の「被害が出たら駆除する」という後手に回る対応からの脱却が叫ばれている。最新のGPSトラッキングやAIを用いた行動予測モデルを導入し、人里への侵入傾向を早期に検知する取り組みが進む。だが、予算や人材の不足、個体数調整をめぐる世論の対立など、現場が抱える課題は極めて根深い。