真木よう子にとって映画初主演となった本作の撮影現場は、文字通りの極限状態だったと伝えられている。当時20代前半だった彼女は、トワの精神状態を維持するために私生活の時間を極限まで削ぎ落とし、現場では鬼気迫る集中力でスタッフを圧倒した。
特に話題を呼んだ終盤の重要なシークエンスでは、リハーサルなしの一発撮りに近い緊張感の中でカメラが回されたという。角川映画と東映ビデオの製作陣が妥協のない表現を追求する中、堀江監督と真木の間には、言葉を超えた表現者同士の激しい火花が散っていた。予定されていた演出プランをアドリブに近い本能の芝居で塗り替えていく彼女の姿に、現場の誰もが息を呑んだ。体当たりの演技という言葉では到底足りない、彼女自身の生命力を削り出してフィルムに焼き付けた制作秘話こそが、本作を伝説たらしめている所以だ。