駅直結のステーションビル「MIDORI長野」には、県内屈指の名店が軒を連ねる。移動前後の限られた時間であっても、妥協のない本格的な信州郷土料理を味わえるのが最大の利点だ。新幹線の発車時刻ギリギリまで、信州サーモンの刺身や旬の山菜の天ぷらをつまみながら地酒を味わうスタイルが定着した。
駅ビルを出て長野駅善光寺口へ足を踏み出すと、重厚な大提灯と門前町の風情を残す街並みが広がる。末広町や南石堂町の交差点周辺には、信州名物のおやきを炭火で香ばしく焼き直して提供する炉端焼き店や、滋味あふれる馬刺しを取りそろえる酒房が点在する。
こうした駅前の料理店が近年注力しているのが「伝統の再解釈」だ。素朴になりがちな郷土料理を、現代的な盛り付けや温度管理、意外な調味料の組み合わせで洗練された一皿へと昇華させる。古くからの常連客を唸らせつつ、新しい世代の旅行者の心をも掴む工夫が随所に見られる。