実際に現地を訪れた参拝者がどのような体験を得ているのか、筆者の現地実査データおよび参拝者の記録やコミュニティの反応を検証すると、視覚と身体感覚の乖離に驚嘆する声が目立ちます。
「外観からは想像がつかないほど、内部に入ると平衡感覚が揺らぐ」「上っている最中、すぐ隣から人の声が聞こえるのに姿がまったく見えないのが不思議で少し怖い」といった感覚的な驚きが多数を占めます。建物の壁面には千社札が無数に貼られており、傾斜した床と歪みのある木造フレームが相まって、まるでだまし絵の世界に迷い込んだかのような錯覚を覚える人が少なくありません。
一方で、実用面における注意点も浮き彫りになっています。堂内の傾斜は場所によってやや急であり、床面の木板は長年の参拝によってすり減り、滑りやすくなっています。特に雨天や冬季には、滑り止めの桟にしっかり足を掛けないと足を取られそうになる場面が見受けられます。手すりは設置されているものの、車椅子やベビーカーでの進入は不可能であり、足腰の弱い高齢者には一定の負担がかかる構造であることは事前に把握しておく必要があります。