この巨大インフラの背後には、戦後の復興を支えた巨大な情熱が存在する。関西電力の初代社長を務め、「黒部ダム」建設でも手腕を振るった「電力の鬼」こと太田垣士郎の強い遠謀が、この地の開発にも深く関わっている。地域経済の発展と安定した電力供給を目指す強い意志が、大規模な開発計画の推進力となった。
現在、管理を担うのは中国電力株式会社だ。本施設は上池と下池の間で水を往復させて発電する揚水発電システムの一翼を担い、電力需要のピーク時に即座に対応できる柔軟な電力供給基盤として機能している。日本の水力発電産業を根幹から支え続けてきた歴史と最新のエネルギー管理が、この深い山奥で静かに交差している。