スピッツの代表的な解釈論争において、筆頭に挙げられるのが1994年リリースのシングル『青い車』です。軽快なアコースティックギターのリフで始まるこの楽曲には、古くから「恋人同士による入水自殺(心中説)」が囁かれてきました。
歌詞中には「冷えた僕の手」「生き延びて」「今変わっていくよ」といった、穏やかではない言葉が散りばめられています。特に象徴的なのが「輪っか」という表現です。これは車のタイヤを指すと同時に、仏教的な「輪廻(生まれ変わりの苦しみ)」からの脱却を意味しているのではないかと解釈されています。
真夏の炎天下、青い車に乗って海岸沿いを疾走し、そのまま海へと飛び込んでいく二人の姿――。草野マサムネの歌詞解釈において、この曲は「現状の絶望的な世界を捨てて、二人だけの永遠を手に入れる通過儀礼」を描いたものとして語られることが多く、爽快なメロディが逆に悲劇性を浮き彫りにしています。