インターネット上やSNSでは、「足がつるのは水分不足だから、寝る前に水を大量に飲めばよい」「バナナを食べればカリウムが補給できて完治する」といった情報が散見されます。しかし、臨床の現場ではこれらの安易な対策が逆効果を招くケースが報告されています。
盲点1:真水だけをガブ飲みすると「低浸透圧」を招く
就寝前に大量の純粋な水を摂取すると、血液中の電解質濃度が急激に薄まり、体が濃度を保とうとして余計に尿を出そうとします。その結果、利尿作用によってかえって夜間に脱水を起こし、電解質バランスが崩れて足がつりやすくなるという本末転倒な状態に陥ります。必要なのは単なる水ではなく、微量なミネラルを含んだ補給です。
盲点2:不足しているのはカリウムより「マグネシウム」
一般に「筋肉にはカリウム」と言われますが、日本人の食生活において最も不足しがちで、かつ筋収縮の弛緩因子として決定的な役割を果たすのはマグネシウムです。マグネシウムは筋肉内でカルシウムの過剰な流入をブロックし、筋肉を緩める働きを担っています。精製された白米や加工食品中心の食事、過度のアルコール摂取、一部の降圧薬(利尿剤)や胃薬(プロトンポンプ阻害薬)の長期服用によってマグネシウム不足に拍車がかかると、筋肉が緩まなくなり痙攣が誘発されます。
盲点3:強引に足先を手前に引っ張る危険なストレッチ
夜中に足がつった際、パニックになって無理やり力任せにつま先を手前に引っ張ると、過度な牽引によって筋線維や筋膜を断裂(肉離れ)させてしまう恐れがあります。痛みが引いた後も数日間にわたって歩行時の痛みが残る場合、痙攣そのものではなく無理なストレッチによる筋肉損傷が原因となっているケースが少なくありません。