南沙諸島の緊迫化は、日本にとって決して遠い国の領土争いではありません。中東から日本へ運ばれる原油の約9割、天然ガス(LNG)の多くが南シナ海のシーレーンを通過しています。この海域の航行の自由が制限されたり、軍事衝突によって封鎖されたりした場合、日本経済は壊滅的な打撃を受けます。
仮に南シナ海が航行不能となり、ロンボク海峡などを経由する迂回航路を余儀なくされた場合、輸送日数の長期化に伴う燃料費高騰や保険料の跳ね上がりが生じ、国内の電気料金や物流コストへ即座に跳ね返ります。
こうした死活的な国益を守るため、日本政府はフィリピン沿岸警備隊への大型巡視船の供与や、自衛隊と比軍の部隊間協定(RAA)の締結など、海洋安全保障協力を急速に深化させています。法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の維持は、日本の生命線を守るための必須課題です。