サノばあちゃんの生活には、現代のリサイクルやSDGsの先駆けともいえる驚くべき創意工夫が溢れていました。なかでも有名なのが、以下の貧乏エピソードです。
一つ目は「川のスーパーマーケット」です。自宅の裏を流れる川に一本の竹竿を渡しておき、上流の市場から流れてくる曲がったキュウリや二股に分かれた大根をせき止めて回収していました。「大根は刻めば同じ、曲がったキュウリも味は変わらん。川が運んでくれるから配達料もタダだ」という徹底した合理主義でした。
二つ目は「歩く磁石作戦」です。サノばあちゃんは外出する際、腰に紐で強力な磁石を結びつけ、地面を引きずりながら歩いていました。歩くだけで道端の釘や鉄屑が磁石にくっつき、それを集めて屑鉄屋に売ることで小遣いに変えていたのです。
さらに、昭広少年が「腹が減った」と訴えると「気のせいだ」と返し、夕方になると「明日の朝ご飯が楽しみになるから早く寝ろ」と促すなど、不足を笑いに変える話術と柔軟な発想力で、過酷な毎日を朗らかな冒険へと昇華させていました。