放送当時、第23週「なつよ、天陽くんにさよならを」で描かれた天陽の最期は、視聴者に「天陽くんロス」と呼ばれる強烈な悲嘆反応を巻き起こしました。『朝ドラ なつぞら 天陽くん 死因』の真相を探ると、そこにはモデルである神田日勝氏のあまりに過酷な運命が横たわっています。
劇中の天陽は長年無理を重ねてきた身体を病魔に蝕まれ、入院先から抜け出してアトリエの壁に遺作となる白樺の絵を描き上げ、36歳という若さで妻・靖枝(大原櫻子)らに看取られながら息を引き取りました。この死因となった病名は「腎盂腎炎(じんうじんえん)」です。モデルの神田日勝氏もまた、十勝の寒冷な気候下での過酷な農作業と絵筆を握り続ける不眠不休の日々のなかで腎盂腎炎を悪化させ、1970年8月25日、32歳の若さで敗血症を併発して急逝しました。
神田氏のアトリエには、絶命する直前まで描かれていた半身だけの巨大な農耕馬の油彩画『室内風景(未完の馬)』が遺されていました。ドラマ内でも天陽のアトリエにベニヤ板に描かれた未完成の馬の絵が残され、駆けつけたなつがその絵の前で涙を流す名シーンへと昇華されました。
『なつぞら 吉沢亮 役柄』の評価を決定づけたのは、単なる容姿の美しさにとどまらない、大地の厳しさと静寂を一身に背負ったような陰影のある演技です。吉沢亮はこの役で朝ドラファンのみならず全国区の熱烈な支持を獲得し、後のNHK大河ドラマ『青天を衝け』主演へと続く栄光のキャリアを盤石なものにしました。