舞台の世界では誰もが認めるトップ女優だったキムラ緑子の名が、全国の茶の間に轟いた決定打は、2013年度後期のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』でした。彼女が演じたのは、主人公・め以子(杏)の義姉である西門和枝役です。
冷徹な眼差しと計算し尽くされた京言葉で、嫁いびりを執拗に繰り返す「いけず」なキャラクターは、視聴者の怒りと喝采を一身に集めました。単なる悪役に留まらず、和枝自身が背負う過去の哀しみや人間的な脆さを滲ませる重層的な演技は、ドラマの視聴率を牽引する起爆剤となり、彼女の名はお茶の間に完全に定着しました。
若い頃の研ぎ澄まされた美貌に固執することなく、人間の醜さや滑稽さ、哀愁までもさらけ出す覚悟を持っていたからこそ、彼女の表現力は50代を迎えて爆発的な進化を遂げたと言えます。2026年現在の彼女の姿を見ても、無理な若作りに頼ることなく、自身のシワや表情の豊かさを愛おしむような自然体の笑顔が印象的であり、年齢相応の艶やかさと迫力を兼ね備えています。