サフランライス作りにおいて、レシピ以上に出来栄えを左右するのが「サフラン自体の品質管理」です。ネット上では「何年も前に買ったサフランが引き出しから出てきたので使った」という体験談が散見されますが、これは失敗の最大の温床となります。
サフランに含まれる芳香成分サフラナールと色素成分クロシンは、光(紫外線)、熱、湿度に対して極めて脆弱です。透明なガラス瓶に入ったままキッチンのコンロ脇や直射日光の当たるスパイスラックに放置されていたサフランは、半年も経つと赤褐色の鮮やかさが失われ、くすんだ茶色に変色してしまいます。この状態になったサフランは、いくら水に浸しても美しい黄色は出ず、独特の甘美な香りも完全に消失して酸化した埃っぽい匂いへと劣化しています。
また、市場には安価な粗悪品や、外見が酷似したベニバナ(紅花)を「サフラン」と誤認させるような表記で流通しているケースも存在します。本物のサフランは先端がラッパ状に広がった糸状の形状をしており、水に落とすとゆっくりと黄色いグラデーションを描きながら溶け出します。水に浸けた瞬間に毒々しい赤色が溶け出したり、糸自体がすぐに脱色して白くなってしまうものは着色料を用いた偽物や別種の植物である可能性が高いため注意が必要です。
一度購入したサフランは、アルミホイルで包むか遮光性のある密閉缶に入れ、湿気の少ない冷暗所または冷蔵庫の野菜室で保管し、開封後は1年以内を目安に使い切るのが、いつでも極上のサフランライスを炊き上げるための絶対ルールです。